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私は前から、発明というものが、いかにして生まれるのか?ということを、どうにかして、いわゆる文科系的な人もしくは、理科系なのだけども、そういう風な発想ができない人に、伝えようと努力してきた。
色々と、例は挙げ始めるとキリがないのだが、一つだけ言えることは、やはり、発明といえるような代物を世に出すには、20代くらいのエネルギーがないと、無理だということだ。これは、はっきりと、そう思う。 たとえばエジソンは、電球ができるまで、数万種類の糸(電気エネルギーをもらって光る)を使って試したが、こういう超人的な作業というのは、エジソンのような、恐らく体力がありすぎるような人でないとできないだろう。もっとも、エジソンの実験をやったのは、数十人の部下たちだったわけだが、 エジソンなんて、偉人伝に出てきそうな人でなくても、アップル社と、ソニーで十分だと思う。 何を言いたいかというと、どうも、最近感じるのは、発明ということが何かしらの理由で、理解できない人が多そうだということであり、なぜ、そうなるのかが、よくわからないので、あえて、このテーマを掘り下げてみることにした。 一般的に、日本で、優秀なエンジニアである人は、○●の造り方。を知ってる人、という場合が多い。 よく言うと、スペシャリストであり、プロである。が、悪くいうと、●●の造り方、を暗記しているだけにすぎない。 しかし、この場合の暗記は、体の動作を伴う暗記なので、一見すると、いかにも、テレビに出てくるような、 ものつくり屋さん、に見えたりする。 しかし、実は、その、●○の造り方、を、発見したのは、ドイツ人であるとか、アメリカ人であるとか、そういうことが、意外と多かったりする。もちろん、そうでない、立派な発明型日本人もいる。 東大生のような暗記などが得意そうな人が、明治維新ころでは、重く用いられ、最近は、そうでもない理由の一つに、技術を輸入する=悪くいうと、どうやって●○を造るかを、暗記すること。体の動作も暗記する。 ただ、日本のエンジニアの名誉のために、言わねばならないのは、仮に、それが、暗記、だったとしても、それを、非常にうまくやる、とか、流れ作業を、驚くような方法で、改善したとか、そういうところでは、日本は、ものすごい発明家であるといえる。この辺は、もっともっと強調されるべきで、トヨタのカンバン方式が良い例だが、そういう、プロセス的な発明というのは、実は一番難しいんではないかとも考えられる。 が、しかし、やはり、本当に最初にそれを、裏庭とか、実験室のすみっこで、誰にも誉められることもなく、奇人扱いされながら、軽蔑されながら、実験を繰り返して、それを、最初にやった人は、やはり、すごいのだ。 この感覚が、どうも、勘違いされているような気がしてならない。それは、本当に、最初だったのだ!ということが、理解できないらしい。 そこで、スティーブジョブス氏に登場してもらうと、急にわかりやすくなる。スティーブジョブス氏は、ウィンドウズのような画面を、最初に小型PC(デスクトップ=机の上に乗る程度のサイズ)につけて、売りだした人であり、その前に、ゼロックス研究所というところで、最初のマッキントッシュ型といわれる、結局は今のPCの先祖が、ある種の、研究として、実験機のような形で造られていた。 それを、たまたま、若きビルゲイツと、スティーブジョブズ氏が見て、こんなにすごいものがあるのか!と驚き、以来、この二人は、友人となり、ライバルとなったが、iPodもそうだが、すべてにおいて、いつも先行するのは、スティーブジョブス氏であり、後追いして、市場を制するのは、ビルゲイツだった。 これと全く同じようなことが、戦後の日本で起きていた。ソニーの井深大氏と、松下の幸之助さんだ。 ソニーの井深さんは、戦前からアメリカで特許を持つような発明家だった。根が発明家であって、根がビジネスリーダーであった盛田氏(ソニー共同創業者)とは、目のつけどころが違っていた。 ソニーの歴史はおそらく語らなくてもだれでもしっていると思うがあえて、重要な点だけ述べると、 1)電子ごはん炊き器 2)半導体を使ったラジオで、手のひらサイズなもの 3)磁気記憶テープを使った録音媒体で、手のひらサイズなもの 4)3)のカセットテープを持ち運びできる音楽再生用手のひらサイズ再生機(ウォークマン) などが有名なところで、ここが、重要なところなんだが、 全部、松下幸之助さんに、真似されて、シェア1位になったことがなかった。 松下幸之助さんという人は、凄い人で、ウチには、ソニーという研究所がある、と言っていたそうだ。 この関係は、スティーブジョブズと、ビルゲイツの関係にそっくりだ。 ただ、こういう面白い逸話もある。 有名な、VHS と ベータ の戦いで、恐らくあまり知られていない裏話があるのだ。 VHSとベータの戦いで、NHKなどのプロジェクトXとか、本などで、よく書かれているのは、VHSが3時間録画できるのに対して、ベータ(ソニー式)は、1時間しか録画できなかったのが、敗因である、という説があるのと同時に、 もうひとつ、映画にもなった日本ビクターの工場で、プロジェクトXに出てくるような典型的なリストラ組が、なるべく少ない部品で、VHS型を作って、それを見た松下幸之助が、VHSにした、という話も知られている。 実は、もうひとつ、あるのだ。これは、一番重要な、テープの素材の部分だったのだ。これは、恐らく、ほとんど知られていない話ではないかと思う。 実は、VHS陣営は、テープ(薄っぺらいプラスチックを引き延ばしたような部分)以外は、全部できていたのだ。ところが、その肝心な、テープが思いのほか、難しくて、あの磁気テープというのは、何層かになっていて、その、層を重ね合わせると、記録がうまくいくとか、記録できないとか、問題が起こるのだが、 ソニー陣営は、アメリカの化学大手のデュポンにテープを作らせていたらしいのだが、VHS陣営は、自力で作ろうと考えた。そこで、とある会社の、とある人が、直接、私に語ってくれたのだが、、それを、なんと、2か月で作るように言われたそうだ。 それこそ、不眠不休で、いろいろな層を試して、この材料でもダメだ、これもだめだと、まさしくエジソン流に、何でもいいから、試してみたそうだ。結果、それは、出来たそうだ。プロジェクトリーダーだった、その方は、自分は、高卒である、というのが、口癖だったが、そのあと、その方は、その某会社の取締役になられ、引退して、若者に、そういう話をしてまわるのが好きな方だった。まさしく、悠々自適を地でいくような、実にさわやかな方だった。 しかし、この話は、プロジェクトXには出てこない。なんというか、、こういう話というのは、実際に発明が起こった瞬間のようなものに、立ち会うのと似ていて、よい体験だった。 ちなみに、青色ダイオードの発明の際にも、私は、まあ、これは、機密事項だから、ここではいえないな。 とにかく、そこでわかったのは、何でもいいからやってみました、そしたら、できてしまった。 それに尽きる。と思える。わかるだろうか?これがわかる人と、全くわからない人が世の中にはいる。 最近、そういう意味では、どうも、日本に元気がなくなった、とか言う人がいるのと同時に、そうでないんだ、という人もいる。長いこと、そういう世界から身を引いているので、もうわからなくなってしまったが、 ああいう世界の、さわやかさ、といったら、もう、政治経済などは、全く、関係ない世界というか、とても懐かしい。 こないだ見たプロジェクトXで、井深大さんが久しぶりにソニーの研究発表会に出てきて、ロボットのアイボだけを、じっと見つめていたそうだ。そのあと、たしか、急死されたんだったか、よく覚えていないが、車いすで、話もできなくなってしまっても、発明魂だけは、健在だったようだ。 それこそは、老骨にムチを、という具合で、何が重要なのか、身をもって知らせたかったんではないかと思えた。 まあでも、ソニーが元気がないようでは、それは、まるで、アメリカから、マイクロソフトとデルコンピュータがなくなっているくらい、空虚な感じだと思う。 もう一度、ああいう、発明魂を、何とかして、発揮できないのか?もしかしたら、何かが起こり始めているのかもしれないとも思えてきた。 最初に、ものつくりには、造り方を、暗記する、という特殊な職業というか、そういうのが専門な人がいて、そういう人は、それなりに、やはり、重要で、たとえば、中国へ工場を移転するとか、そういうときに、造るときに使う道具や工具まで、すべて暗記しているので、言ってみれば、技術系のスーパー事務方、といえるだろう。 土木工事などでも同じで、現場のカンとか、そういう職人らしき言葉が使われるけれども、結局、アスファルトの道路をどうやって敷くのかを考えたのは日本人ではない。また、吊橋をどうやって作るのかを考えたのも日本人ではない。トンネルをどうやって掘るのか、なども同じだ。 しかし、それをどうやったら、できるのか、に関しては、世界一よく知ってるというような頼もしい人が日本にはいたりする。つまり、職人ですね。大工さんと同じです。大工さんは、どうやれば家を建てるのかを、修行して、覚えているわけです。それと同じなんですね。 ところが、日本の大工でも、発明家型大工さんがいるわけで、たとえば、地震が起きても揺れない家を「最初に作った人」と、その作り方を、暗記した人もしくは、応用した人がいるわけで、 もっと、すごいかもしれない例をあげると、ステルス戦闘機の理論を最初に考えたのは、実はロシア人だった、しかも、理論家だったようだ。しかし、その理論を盗んで、アメリカ人の5人くらいのチームが、ああでもない、こうでもない、と、繰り返して、ステルス戦闘機は出来たそうだ。 もちろん、ステルス戦闘機の造り方、を暗記して、ステルス戦闘機のエキスパートになる人が、もし、機密が解除されたら、出てくるだろう。 わかるだろうか?発明する人と、そうでない人の違いが。 ちなみに、私は、どちらかというと、そうでない人のほうが、圧倒的に偉いと思っている。 なぜかというと、圧倒的に暗記する量や、体を動かす量が、多いからだ。 しかし、やはり、発明家は、何らかの形で、優遇されるべきだと、やはり、私は思う。まあでも、発明家的な人というのは、もともと、負けず嫌いで自信家だから、別にほめられなくてもいい、というのはある。 どちらかというと、体も使う、造り方の、エキスパート、たる人は、いわば、縁の下の力持ち、のような存在になりやすく、あまり、目立たないことが多くなってしまうので、逆に、派手だったりするというか、認めてほしいというか、そういう人は、いい人が多い。本質的に、人の役にたつのが、うれしいのだ。 だから、私は、そういう人の方が、本当は偉いんだと思う。 日本人なら、誰でも知っている、iPodは、おもに台湾で造られている。一部の部品は日本製だ。 そこで、 スティーブジョブズ氏(発明家) と 台湾の工場責任者(造り方を知っている)と 深浅の工場の責任者(台湾の工場から、造り方を教わった) この3人のうち、誰が一番、偉いか、というような問題がある。 スティーブジョブズ氏の話題は、メディアでしょっちゅう見るが、台湾人の社長など、一回もテレビに出ることなどはない。それどころか、深浅の工場長は、労働者を、こき使う悪魔として、テレビで有名になってしまった。 さて、まあ、3人とも偉いというのが正解でしょう。しかし、やはり、スティーブジョブズがいなかったら、何も起こらなかったわけです。 ここまでわかって、それでも、発明家など、意味がないというならば、もう日本は終わったということかもしれない。 でも、私はきっと、今、どこかで、誰にも知られないような田舎で、発明魂に火がついた負けず嫌いの人が頑張っているんではないかと、期待している。 この文章は、相当個人的なバイアスがかかっているが、ウソはついてない。問題は、誰が一番大事なのか?誰が、一番偉いのか? 大事な人 と 偉い人 は、違うというか、その辺を、こういう世界を知らない人にわかってほしいと、私なんかが、、、、と思うが、これは、そこら辺の、社会問題などよりも、はるかに重要なことだと、やはり思うので、書いてみた。 PR |
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