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以前、特許事務所に、一時的に勤務したことがあった。そこで、何よりも驚いたのは、特許事務所という職業柄、覚えていなくてはならない、知識の膨大さである。



まずは、技術的な知識、しかも、特定分野でなく、あらゆる分野において、場合によっては、博士号並の知識さえ求められているのではないか?と感じたことすらあったが、私がせめてもの救いだったのは、半導体ならば、少しはわかったということだったが、機械やロボット、複雑な電子回路、インターネットに関する特許などは、難解なこと、極まりなく、途方もない量の、知識の蓄積が求められているのだな、と、その求められる記憶の量の多さに、圧倒される毎日だった。



それに加え、特許に関する法律は、何千ページもあり、それを、基本だけで390条だったか、覚えていなくては、正式な特許弁護士(弁理士)にはなれず、膨大な量の記憶力が求められる。



私は、そういうことを、同時に一気に覚えようと必死になって、精神的に、参ってしまい、倒れてしまったことがあった。



あれほど過酷な世界はないと思うが、それと同時に過酷に思えるのは、技術者の世界における、新しい方法を、常に習得しなければいけない、という過酷さである。



電子機器というのは、何も、全自動の機械が作ってくれるわけではない。それぞれのプロセスを完全に理解して、それを、場合によっては、1mmの1000分の1の大きさレベルで、制御し、正確に、確実に処理するプロセスを、手動で行う場合もありえ、それを、しかも、大量生産しなければならず、しかも、その方法が、2,3年に一回くらい、大幅改定されることも、しばしばであり、そのたびに新しい方法を覚えないといけなかったりする。しかも、異常な国際競争からくる、異常な納期などによって、徹夜を余儀なくされることも、しばしばである。



そういったプロセスをへて、出来上がった、パーソナルコンピュータ上での、プログラミングの世界でも、使用する、プログラミング言語は、これまた、2,3年に一回くらい、根本的に改定されることがあり、新しいやり方を覚えないといけなかったりすることもしばしばであり、これは、あたかも、人生の中で、4回くらい、住む国を変え、新しい言語を覚えないといけないくらい大変なことだ。



同じ、漢字圏である場合ならば、まだいいとか、欧米言語の中の移動であったのが、急にアジア語を覚えないと、今後、やっていけそうにない、なんて言う場合もありえる。



そういう世界に身をおいている、プログラマー達の心労の深さは、想像するだけで、ため息が出る。



しかし思うのだが、最近の、そういった意味での、記憶の量の多さは、ある種、人間の限界を超えている場合が、多々ありえ、しかも、給料が低かったり、使い捨てにされたり、安定した職がないなど、人間がいくら狂っても足りないくらい、恐ろしい環境になりえる。



それが、現実であり、それを、もっと、もっとと、追い込まれて、おかしくなっている人が増えている。これほど、恐ろしい状況は、かつての歴史ではありえなかっただろうと断言できると思う。



問題は、そういった、異様なほどの記憶力が求められる技術者系の人材と、そうでない系統の人材との間に存在する、恐ろしいほどの、深いギャップである。あまりにも差がありすぎる。その差は、あまりにも過酷であり、残業の量や、給料の少なさなどは、あまりにも悲惨である。



こういうことは、私は社会に出るまで知らなかったし、まさか、そんなに、色々とやらなくてはいけないとは夢にも思っていなかった。特に半導体とか、コンピュータとか、最先端であればあるほど、それは苦しく、激しく苦しい。途方もない量の、記憶が求められ、同時に、正確さ、そして、チームワークも求められる。あまりにも、求められる量が多く、狂ってしまう人がいくらいてもおかしくないとさえ思える。



この問題は、あまりにも難しいので、シリーズにして書こうと思う。
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